夢の機械

私たちは、崩壊しつつある匠の技を継承し、海外の低価格商品から日本の靴下製造技術を守るため、靴下加工機の開発に取り組んでいます。

自動リンキング機

「リンキング」とは、靴下のつま先部分の編目を1目ずつ拾って縫い合わせる方法で、一般に「かがり縫い」とも呼ばれています。リンキングと対極にあるのが、「ロッソ」です。ロッソは目を拾って縫い合わせるのではなく、ミシンのように一直線に縫合する方法をいいます。
両者の違いは、靴下を実際、履いてみるとよく分かります。つま先にごろごろ引っかかりがあるのはロッソで縫い合わされた靴下です。逆にリンキングで縫合された靴下は異物感をまったく感じることがありません。リンキングは生地に盛り上がりがありませんので、デザインの歪みがなく格調の高い靴下を生産することができます。
かつて靴下は、すべてリンキングで加工されていました。作業には、熟練の職人技が要求されます。手間もかかりますので、工賃は「1目1円」と言われていました。 ところがロッソの機械が開発されると、市場が一変。靴下業界は品質を落としてでもコストを下げる方向に流れて行きました。高級品のかがり縫いは、市場から淘汰されて行ったのです。
リンキングの火を消さないようにと、あらゆる手段を模索しましたが、どの機械工場に依頼してもすべて断られてしまいました。針を編目に通そうにも、繊維製品はやわらかく固定ができませんので、冷蔵庫をつくるようには行かなかったのです。

それから25年、科学技術は格段の進歩を遂げました。立命館大学と産学共同研究に着手。画像処理技術とロボット工学を応用して、1997年、ついにリンキング機のプロトタイプの開発に成功しました。
リンキング技術の自動化は、繊維業界のノーベル賞とも評され、実現が難しい「夢の技術」とされてきました。現在、私たちはこの失われつつある伝統の技を継承し、自動リンキング機の実用化に向けて開発を進めています。

ファイナルタッチ

日本の靴下は世界最高峰と評価されてきました。いま国内には海外からの品質を省みない安価な粗悪品が氾濫し、日本の靴下工場は崩壊の危機に瀕しています。海外との競争で日本が負けている点は、唯一「人件費」です。靴下の後工程は、その大半を内職にお願いしているのが実情です。人件費のハンディは後加工の機械化が実現すれば克服することができます。後工程の機器は欧米で開発されたものがありますが、靴下を数足まとめて串刺しにするような手荒いものしかなく、到底日本の精巧な技術水準をみたすものではありません。国内の靴下工場を守りたい。この想いから2001年よりプロジェクトをスタート。ペアリングから、パッカー、たたみ、口紙、下げ札、底転写、シール貼り、検針にいたる後工程の自動化に成功しました。協力工場への投入も完了し、よりコンパクトに、より低コストで運用できるよう、さらなる改良を進めています。

夢の機械

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