9月 "おぼろげ"

わかんない
だけどあなたに呼ばれると
日差しがすこし動くのでした

大事にされると
積もっていく
ゆっくり話す人だったね

その気持ちが
胸に押し寄せてる間
どこかで安心してる気がする

忘れることの
ふしぎな明るさ
何度でもわたし戻ってくるよ

8月 "遠く"

離れてから
すごく響く
本当にいい名前だね

毎日たのしいよ
でも、遠くに来ると
安心するの

すこしずつ
ビデオが短くなるのは
また誰かに出会えるように

本当の言葉で話せる街を
火を見るように
想像してる

変わりたいね。
まだ見えないけど
まなざしてる

7月 "強さ"

一瞬で
ぜんぶとぶ
光みたいなこと言うね

その人は
こぼさないように
泣いていた

本当の力は
ゆっくりと
色づいてゆく

きみに会うと
戻ってこれる
涙が出るほどゆっくりだね

6月 "雨"

唐突に
どうでもいいことを思い出して
退屈が重なってゆく

ひとりしか
行けないところは
いつも静かな雨なのでした

雨の日は
すこし声を張っていて
あなたがどこか遠く感じる

きみが
考えているときは
やさしく長く降るのでした

5月 "風"

人が何かを思い出すとき
ふわっと上がる
風があります

風の音が聞こえてる
誰に言われなくても
思ってる

本当の風は
吹き抜けてゆく
誰を抱きしめていようとも

だって
まだまだ生きるから
軽くて強い愛がいいの

気持ちが通り過ぎるのを
待つ癖がある
髪がゆれてる

4月 ”出会い”

やさしくなれなかった記憶
持ち合わせて
ふたりは次の恋をはじめる

素朴な質問に
答えていたら
ほろほろくずれる鎧です

足りない時期が長かったから
足りているのが
こんなにわかる

会うと
水が澄んでいく
もう胸の中きれいがいいの

3月 ”変化”

呼び合っている
かたちがゆっくり
変わっている

春、
何度やり直しても
ここで光が変わってしまう

そのとき、
会いたい人がいて
模様がひとつ変わりました。

大きく変わる前はいつも
すごく静かに
集めているね

2月 ”進む”

かなしみが
残るからだで
歩いている

進むほど
遠ざかる日々、
会えないね

ふたりの色が
混ざりすぎてしまうのは
今じゃないってことだと思う

できなかった頃を
抱きしめている
道の途中

1月 ”あたらしさ”

その日は、
大切な気持ちが
ふるえてました。

しん、と
黙る街に
森の名前をつけてゆく

朝、目覚めるとき
ひとはどこから
来るんだろう

しるしだよ
未来に愛される
それはふしぎな形だけど

生きている花を
じっと見つめていると
一瞬、ゆれるね。

12月 ”ひかり”

思い出はいつでも
スローモーションで
風は光をゆらすのです

ふつうのことで
ふつうに泣くのに
頷くとき、光ったね

なぜだろう。
待つ人はいつも
光ってしまう

本当はぜんぶ
遠いからだで
知っている。

11月 ”ひとり”

あれもこれも
透ける色
なんか、うまくいかないの

永遠
きみがふたりで思うとき
わたしはひとりで思うのです

恋とする
本物とする
また、何年。

本当のことしか分からない
泣きたい、とかって
ちゃんと思う

10月 "秋の香”の色を探して

風の匂いで思い出しそうになる
むかし、やわらかいところに
住んでいました

大切が
変わってしまう日が来ても
だれの胸にもやさしい島

言えなかった言葉が
わたしになってゆく
ずっとね。

｢帰りたい｣って
気持ちのために
人は家を作るのかな

Monthly

9月
”おぼろげ”

8月
”遠く”

7月
”強さ”

6月
”雨”

5月
”風”

4月
”出会い”

3月
”変化”

2月
”進む”

1月
”あたらしさ”

12月
”ひかり”

11月
”ひとり”

10月
”秋の香”の色を探して