「長靴と麦わら帽子」

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この頃、実家の愛媛と東京の二拠点を行き来しながら生活している。
実家は農家で、私も仲間たちと畑を持ち季節の野菜を育てている。春に植えた種が芽を出し、成長してピーマンとかゴーヤとか名前のある野菜になっていく工程を見ているのはすごく面白いし、色んな発想の源になる。草や虫、猿や猪、いろんな生き物がいてときに食べられたりもするけれど、この地球に住むのは人間だけではないのだと実感する。
そんなわけで、愛媛にいる間はもっぱら長靴と麦わら帽子という出で立ちだ。
真夏は10時を超えると危険な暑さになるので、早朝に始めて一旦休憩。汗だくになってシャワーを浴び、アイスコーヒーでも飲みにいこうかと街へ出る。新しいシャツをはおり長靴以外の靴にはきかえる。洋服ひとつでこんなにも気持ちが変わる。どちらも私、どちらの時間も大切だなと思う。
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高橋久美子|作家・作詞家・詩人
音楽活動を経て文筆家に。主な著書に、小説集「ぐるり」、エッセイ集「旅を栖とす」「いっぴき」、詩画集「今夜 凶暴だから わたし」など。アーティストへの歌詞提供も多数。
オフィシャルサイト:takahashikumiko.com
Twitter:@kumikon_drum