「歩いたことのない場所」

数ヶ月、もしくは数年数十年と、見慣れた町の道でも、一度も通ったことのない道を選べばそこは未知だ。たとえそこにお洒落な専門店がなくても、キャラクターの面白看板に出会わなかったとしてもいい。落ちているはずのないものがゴミとなって転がっていたり、他人の家の窓辺がデコレートしていなかったとしても構わない。それは写真にして残すまでもない退屈な場所と時間。でも、そのなんでもなさが必要な時だってある。そこを選んで歩いたことが、自分だけの経験値となって感性を豊かにしてくれる。そう信じている。
もはや隠れ家はなく、秘密は公然の世界で、それでも自分だけの居場所は欲しい。だから抵抗してみる。検索画面の「(スペース)おすすめ」や、マップでの最適解に頼ることなく未知を進む。馬鹿馬鹿しくも、ささやかに。



近藤大輔

1990/静岡県生まれ。ドローイングやスタイロフォーム彫刻を制作。8匹のぬいぐるみたちと生活をしています。
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