「スマホを手放したら」

24時間ネットに繋がっている感覚が嫌になって、せめて外に出るときはひとりで居たいと、ある日、スマホを手放した。スマホに集約された多くの機能が分散されていくように、持ち物が増えていった。通話とSMSだけできるミニ電卓のような携帯電話と、音楽を聴くための古いiPodと、思いついた歌を吹き込むボイスレコーダーと、写真を撮りたいときのフィルムカメラ、いろいろメモするノートとペン。僕が欲するものひとつひとつに専用の道具があり、その道具の数だけ、機種や銘柄を吟味した時間がある。オールインワンは確かに便利だったけれど、より多くの愛着がカバンの中に詰まっている今のほうが、僕にとっては気分がいい。



東郷清丸

横浜生まれ。2017年に1st Album「2兆円」、2019年に2nd Album「Q曲」を発表。両作品ともに、若手ミュージシャンのための音楽賞"Apple Vineger Music Award"にノミネート、「Q曲」は審査員特別賞を受賞。
DIYスタジオに演奏家を招聘し一日でミニアルバムを録音・発表した「トーゴーの日2020」や、コロナウイルス感染拡大の影響でイベント中止が相次いだ2021年のゴールデンウィークに、毎日あたらしい歌を公開した「Golden Songs Week」など、音楽をつくる行為そのものを遊ぶ。
開放的な音楽観を活かしてCMや映画・演劇への楽曲提供も多く手掛け、そのほか映像やラジオへの出演も行う。