「自分の身体を触る」

日々を生きるための仕事に集中している毎日だけど、ふと気が抜けたときは、自分の身体をまじまじと観察し、触ってみる。この皮の下で何が起こっているかを見たこともなく、今もこうして動いている理由もわからないし、筋肉をいくつか操作するので精一杯なくせに、僕はこの身体を「自分のものだ」と当たり前に思っている。なあんか不思議だな、と感じられてきたら、より深く静かに集中して、足の裏、脇の下、胃袋の辺り…その時なんとなく気になるところに手を当て、そのままじっとする。いまこうして手を当てようとしなければ、ここは誰にも触れられることなく一生を終えたかもしれないよな、触っといてよかったな〜、とか思えてきたら、いい感じ。



東郷清丸

横浜生まれ。2017年に1st Album「2兆円」、2019年に2nd Album「Q曲」を発表。両作品ともに、若手ミュージシャンのための音楽賞"Apple Vineger Music Award"にノミネート、「Q曲」は審査員特別賞を受賞。
DIYスタジオに演奏家を招聘し一日でミニアルバムを録音・発表した「トーゴーの日2020」や、コロナウイルス感染拡大の影響でイベント中止が相次いだ2021年のゴールデンウィークに、毎日あたらしい歌を公開した「Golden Songs Week」など、音楽をつくる行為そのものを遊ぶ。
開放的な音楽観を活かしてCMや映画・演劇への楽曲提供も多く手掛け、そのほか映像やラジオへの出演も行う。