「ワラーチサンダル」

ほとんど裸足みたいなサンダルはないだろうかと、昨年の夏、ワラーチサンダルに出会った。メキシコ先住民の履物を参考に作られるこのサンダルは、ソールに紐だけ、足の接地面をちょっと覆ってるだけの単純なものだ。これを履いて歩くには少しコツが必要で、地面を歩く衝撃や振動を、足や身体全体で吸収したり逃がしたりする。これを履き、ほとんど裸足になってみると、身体が少しだけ野生に戻る感じがする。アスファルトの道は硬くていやな感じがして、公園の土や芝生の上を歩くとかなり気分がいい。現代のように舗装道路やスニーカーのような履物が普及する以前の人間にとって、歩くということはどういうことだったんだろう。と散歩しながら考える。



東郷清丸

横浜生まれ。2017年に1st Album「2兆円」、2019年に2nd Album「Q曲」を発表。両作品ともに、若手ミュージシャンのための音楽賞"Apple Vineger Music Award"にノミネート、「Q曲」は審査員特別賞を受賞。
DIYスタジオに演奏家を招聘し一日でミニアルバムを録音・発表した「トーゴーの日2020」や、コロナウイルス感染拡大の影響でイベント中止が相次いだ2021年のゴールデンウィークに、毎日あたらしい歌を公開した「Golden Songs Week」など、音楽をつくる行為そのものを遊ぶ。
開放的な音楽観を活かしてCMや映画・演劇への楽曲提供も多く手掛け、そのほか映像やラジオへの出演も行う。