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あえて語りたい足下の美学、こだわりの「靴下」の話

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スーツに時計、靴、鞄。仕事着として身につけているそれぞれには、無自覚に選んでいるようで、かなり色濃くセンス、性格、大げさに言えばちょっとした人生観まで反映されている場合が多分にある。
一般に「おしゃれは足元から」なんて言うけど、本当に「おしゃれだなぁ」と感じる人には「靴」、そして「靴下好き」が多いことも、これがタビオのコンテンツだからということを差し引いても、否めない事実だと思う。
「靴下なんて」と考えるか、「靴下こそ」とこだわるか。自己満足の世界だと言われればそれまでだけど、履き心地や素材感、見えない部分にも心を寄せられる紳士の余裕は、人としての大きな魅力につながるはずだ。
前置きが長くなってしまったけど、今回は、そんなこだわり派の紳士に愛されている「バンナーソックス」にフォーカスしてみたい。

いいビジネスソックスとは。

そもそもいいビジネスソックスの条件はなんだろう。
ビジネススーツを着る理由は、マナーやエチケットなど色々あるけど、ビジネスマンの戦闘服とよく言う。自分の人となりを見た目で相手に伝えなければいけないからだ。
そう考えると、ビジネスソックスの色がスーツに合わせられていなかったり、ズレていたりヨレヨレだと感じるイメージは「だらしない」だろう。
ビジネスソックスに求められる1つめの条件は、「美しさ」
素材や編み目はもちろん、着用した際にズレたりしないのも、美しさにつながる。
そして、多くのビジネスマンが月曜から金曜までの8時間以上着用し続けるものである以上履き心地が大切だ。縫い目が当たって、痛いなどという事は言語道断として、革靴の中でムレてしまったりしては、不快感を一日中ずっと感じてしまい仕事に集中できないだろう。
美しさと履き心地。この二つの要素が満たされている靴下が、いいビジネスソックスといえる。そして、この条件を満たしているのが「バンナーソックス」なのである。

優れた職人技と伝統の編機から生まれる

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「バンナーソックス」とは、編み上げる際に足底と甲の素材や色を変えられる「バンナー機」を用いた靴下の総称。
現在では、日本に数台しかない貴重な編機となっている。
なぜもう日本数台しか無いのかというと、バンナー機は1足編むのに時間がかかり、整備の手間も多くかかり、より効率的に靴下を編む編機が普及していった結果、多くの工場から姿を消して行ってしまったからだ。
1足を編む時間が短くなれば時間当りの編み枚数が増える。そうするとコストカットになり安く売る事ができる。3足1,000円の靴下が当たり前になってしまった時代にバンナー機の居場所はなかったのだ。
だが、値段では計れない価値がバンナーソックスにはある。
タビオのバンナーソックスは基本的に、シルクと綿などの素材を組み合わせて編み上げる。
シルクは、「繊維の女王」と呼ばれるほど、美しさと機能性に優れており、古くシルクロードの時代から人類に愛され続けている。そのため、ビジネスソックスにとっても最適な素材なのだが、シルクは「摩擦に弱い」という弱点がある。
「美しく」「履き心地がいい」だけど「すぐ破れてしまう」ではビジネスソックスとしていいものとは言えないだろう。
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そこで、バンナーソックスの出番である。摩擦がかかる足底の素材を変えることで強度を持たせ、シルクの美しさと履き心地を感じる事ができるのだ。
以上が、バンナーソックスの理屈ではあるが、いったい何がすごいのか伝わりにくいバンナーソックスのことを更に掘り下げてみたくなり、タビオのビジネスソックスを手がける工場へと赴いた。
話を聞いたのはタビオ商品部の藤ノ井と、協力工場・靴下事業部の梅本さんのお二人。

「絹×綿」ふたつの肌触りを味わう紳士の機能美

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藤ノ井
「とかく効率化が優先される日本の産業のなかで、なぜ時間もコストも余計にかかる商品を作っているかといえば、タビオのビジネスソックスが目指す心地よさや肌あたり、品質や機能性という部分で、バンナー機でしか成し得ない技術が必要だからなんですよ。
この商品は絹紡糸(けんぼうし)という絹の糸を使っているんですが、とても繊細な繊維なので足底やつま先の負荷のかかる部分はすぐに消耗してしまう。絹の美しさや高級感を保ちながら、心地よく実用的な靴下をつくりたい。バンナー機を使えば、足底と甲の素材を変えて編める。見た目だけならバンナーにこだわる必要はないけれど、素材を切り替えた部分の仕上がりには格段の差があり、肌あたりに大きく影響してしまうんです。わざわざ靴下をひっくり返してそこまでチェックする人は少ないかもしれないけど、同じ理由でつま先を縫い付ける作業もひとつひとつ手縫いで縫製する『ハンドリンキング』という手法を採用し、つま先から甲、足底にかけての切り替えをシームレスに仕上げ、滑らかな履き心地を追求しています」

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ハンドリンキングの模様。つま先を段差無く縫う作業は、手間と経験が必要。

編機の機嫌を感じ取れ

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梅本
「自分が入社した頃には、現役で活躍しているバンナー機も20台くらいあったけど今は5台。シルクとパイル(綿)の靴下が編めるバンナーパイル機は自社で改良したもので、うちにあるのは1台だけ。編機の部品も使えなくなったバンナーから取ったり、鉄工所で型取りしてつくったり、専任の職人が組み上げているカスタムメイドです。とにかくやわらかな絹紡糸なのでシワになりやすかったり、きっちりサイズ感を出すのが難しかったり、ほかのバンナーソックスと比べてもとりわけ手間がかかります。ひと目でも外れたらアウトですからね、その調整も含め、バンナー機を扱うには、熟練された職人の技術と経験が不可欠です」

藤ノ井
「ここの職人さんがおっしゃってましたが空気を読むというか、編機の『機嫌がわかる』のですよね。それがわからん職人は雇わんと(笑)」

梅本
「いつも担当してる職人が帰って、経験の浅い人間が近づいたら急に壊れたりね(笑)。ウソみたいなホンマの話は多々あります。夏と冬では湿度も変わるし、編機のクセもある。最新式の編械ならある程度ほっておいても編み上がるけど、バンナーの場合は最低でも3時間おきに様子を見て『お前、大丈夫か?』って声かけならがやっている感じです。繊細な絹紡糸と伸縮性のある綿パイル、性格の異なる2つの糸を使っているのでちょっとしたテンションの差異で糸がひきつれる原因にもなるので、本当に目が離せません。」
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編機のそばには調整用の器具が置かれており、取材の最中も職人さんが編機の手入れを行っていた。

あえて語る、バンナーソックスの魅力とは?

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藤ノ井
「吸湿性と保湿性に優れた高級シルクのしなやかさ、その心地よさ。底面をタフな綿パイルに切り替えことによる実用性の高さ。それによって、紳士の足元にふさわしい美しさと機能性をバランスよく味わえることでしょうね。
僕個人としては、レギュラーよりもハイソックスをお勧めします!ふくらはぎをやさしく包みこむ絶妙のフィット感、美しくスムースな表面感はボトムスとの摩擦も少なく、ビジネスやフォーマルシーンはもちろん、休日のおしゃれにもぴったりです。
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いざとなれば、飲み会でうんちくを語れるスペックの高さも魅力ですよね。まぁ、あえては語りませんけど(笑)。『今日、俺は絹やぞ』みたいな密かな高揚感が、その日のモチベーションを上げてくれることもあるし、何よりも足入れした時のしっくりなじむ感じがたまらなく好きなんですよね。」

取材を終えて

取材の際、梅本さんに「もし、工場の編機が最新の物に置き換わって、ボタン一つで作れる状況になったらどうしますか?」と質問してみたところ「そうなったら、この仕事は辞めるね。きっと面白くないから。」と答えられたのが印象的でした。
技術の進歩は大切だ。誰でも高いクオリティーの商品が作れる環境はまぎれも無く正しい。
しかし、「技術を磨いた職人たちにしか作れない商品」そういったものは、心に響く。ただの消耗品でも、必需品でもなく、心を揺り動かす商品。
それが、バンナーソックスなのかもしれない。

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