誰かが発した言葉や思いと誠実に向き合いつつ、
自分の思いも曲げずに音楽に落とし込みたいと思ってやっています。

#わたしのNe

vol.2

大澤
実音穂

「Ne」はルーツ、根っこにある大切なものに
フォーカスをあてるウェブマガジンです。

変化の激しい日々、立ち止まってしまうこともある。
「これからどうしたら良いんだろう?」そんなときには、思い出してみたい。
いつかの私を支えてくれたものは何だったか。いつでもそこへ戻っていくことができる風景はどこにあるのか。
変わりゆく世の中で、私らしさをつくるもの。私の根。私のルーツ。

《雨のパレード》、都市性と郷愁が同居する新感覚な音色を紡ぐ3人組バンド。
今回は、ドラマー・大澤実音穂さんのNe(根)=ルーツを辿ります。


涼しげな横顔、その内側にともる熱。
音楽が好きになれなかった少女が、ある日出会った運命の楽器。
自分の芯を曲げないために、変化し、成長し続けてきた彼女と音楽の月日をゆるやかに遡ります。

いま届けたい音楽、かつて届けられた音楽

この1年半、変化を迫られることが多かったのではないでしょうか?

音楽をつくる、という点においてはあまり変わりありません。一方、ライブができなくなったことはとても大きい変化でした。前作のアルバムツアーも、4公演を残して中止になってしまいました。

ライブができなくなったことで、なにか心境の変化はありましたか?

配信ライブにも挑戦したのですが、やはりお客さんの姿が見えない状態でのプレイは簡単ではなかったです。 そんななかでリリースした新作アルバム『Face to Face』は、どこかで私たちの音楽を聴いてくれている誰かに「音で愛を伝えよう」という気持ちを強くこめました。ちょっとくさい言い方ですけど、直接会えない状況だからこそ生まれた正直な気持ちです。

この状況だから生まれた感情かもしれませんよね。かなり時を遡りますが、大澤さんと音楽との出会いを教えてください。

私は両親がクラシック音楽をやっていて、長女である私にも「絶対音楽をやらせたい」という圧がすごかったんです。練習しなさいってすごく言われました。それでなのか、幼少期は音楽があまり好きになれなかったんです。

音楽が好きになれなかった時代があったんですね、意外です。

ところが、小学4年生のときにすべてがひっくり返りました。母に連れられて金管バンドのステージを観に行ったんです。舞台のうえで一番輝いて見えたのがドラムでした。楽器を何個も組み合わせて、それらを巧みに操る姿がかっこよくて。音楽の芯を支えるような演奏にも惹かれました。もう釘付けです。なにかこう、言葉にはできないすごい衝撃を受けたことを覚えています。

それが、ドラムとの出会いだと。

そう。でも、ステージを観た日のことは覚えているのに、その後「私もドラムをやるんだ」と決めた日のことはよく覚えていないんです。両親によると、私はその日、大雨が降って雷が鳴り響くなかを学校から帰ってくるなり「やりたい!!」と高らかに宣言したんだそうです。本当かなぁ?って私は疑っているんですけど、両親としては、自分たちのせいで娘が音楽を嫌いになったかもしれない……と思っていたから嬉しくてよく覚えているんだそうです。

なかなか衝撃的なシーンですね!

そうですよね(笑)。実際に始めてみるとドラムという楽器は私に合っていました。ドラムを演奏しているときが一番自分を表現できている、と感じました。言葉で表現するよりもずっと。

譲れないものはそのままに、新たな場所を目指して

地元鹿児島での活動を経て、現在の《雨のパレード》のメンバーと共に上京。当初は、本日の取材場所である高円寺の近くに住んでいたとうかがいました。

そうです。バイト先も高円寺でした。当時は一番きつい時期で、バイトのあとに夜中から夜明けまでスタジオに入って、その後またバイトへ行く……という生活でした。今なら倒れてしまうと思います……。

それだけ、熱中していたんですね。

今思えば、そうですね。とにかく「何からやっていいかわからないけど、やるしかない」って思っていたんです。曲を作って、ライブもやって。いろんな人と会って縁をつないで。下北沢や渋谷もそうですが、そういったゼロからの活動をしていた記憶のある街の一つですね、高円寺は。

濃厚な日々を想像できます。そんな日々を乗り越えられた背景には、メンバーの方々の存在もあったように思います。皆さんとの曲作りではどんなことを意識しておられるんですか?

私は内気な性格ですが、頑固者でもあるんです。譲りたくない部分というのも強く持っていて。でも、一人でやっていきたいわけじゃなくて、人と一緒にものづくりをすることが好きなんです。だから、誰かが発した言葉や思いと誠実に向き合いつつ、自分の思いも曲げずに音楽に落とし込みたいと思ってやっています。

では、バンドの活動初期にあたる高円寺での日々で作った曲にはそういった葛藤も込められているのでしょうか?

そうですね。「new place」という曲は、自分のやりたいことと、今からバンドとして挑戦していくべき方向性とを両立させようと試行錯誤しながら作りました。今の私たちの音楽とはずいぶん印象が違うとは思いますが、私らしさが出ている、思い入れのある一曲です。

本日の撮影場所、高円寺にある古着屋「川」は当時もよく通っていたお店なんですか?

「川」は最近(2019年)できたお店ですが、系列店である「ガイジン」「黒ベンツ」などには当時はよく通っていました。古着だけではなくて、オーナーさんが描いた絵がプリントされたTシャツなどのオリジナル商品も好きなんです。

演奏のみならず、ファッションやコスメなど、大澤さんの持つ雰囲気や世界観に惹かれるファンの方も多いと思います。

小さい頃から母のドレッサーに並ぶお化粧品にすごく憧れていて、コスメは昔から好きなんです。鹿児島ではなかなか手に入らないものも多かったから、上京したとたん憧れが爆発してしまいました。「雑誌でみたやつがあるー!」って(笑)。特に好きなコスメは、背景にあるストーリーに惹かれたものが多いですね。今後は、自分でお化粧品や香水も作ってみたいです。

ファッションについて、ちなみに大澤さんは靴下の着こなしに何かこだわりはありますか?

ドラムの演奏中に履く靴下はすごくこだわりがあります!

なるほど!靴下は、お仕事道具の一つですよね。

本当にいろいろなものを試しました。裸足での演奏も試してみたんですが、やっぱり靴と靴下は必要でした(笑)。今は厚手の靴下に落ち着いています。数ミリの差ですが、けっこう心地よさが違うんですよ。

他者ではなく、「どんな自分でいたいのか」を道標に

これから先、音楽活動で実現していきたいことはありますか?

やっぱりライブをやりたいです。大きな会場で。海外ツアーにも行きたいです。そして、もっと多くの人たちに《雨のパレード》を知ってほしい。

《雨のパレード》の曲には心地よい余白があって、聴いているとショートムービーみたいに情景が浮かんできます。きっとこの音楽と出会った人たち、これから出会う人たちの頭のなかにも、それぞれの空想が広がるんじゃないかなと思います。

同じ曲でも、気持ちや体調、置かれた状況によって全く違う伝わり方をしますよね。異なる場所にいるみんな、一人ひとりに私たちの曲が寄り添うことができればと思います。

ドラムに出会ったころ、上京したばかりの駆け出しのころ、そして今に至るまでたくさんの選択を重ねてこられたと思います。大澤さんは決断をするときに、なにか大切にしていることはありますか?

「これを選んだ先には、どんな自分がいるだろうか」ということはよく考えます。「どんな自分でいたいか」と言ってもいいかもしれません。その場の感覚に任せることはなくて、よく考えてから決めますね。上京するときも、私が1番長く悩んでいたと思います。

でも、決断されたんですよね。

そう。最終的に上京を決めたのは、もし雨のパレードでの活動が形にならなかったとしても、上京した経験そのものがきっと何か私の未来につながっていくと思ったからです。

選択をしたあと、実際に「こうありたい自分」になるためには努力も必要だったと思います。

そうですね……。ちょっと昔の話になるんですが、高校時代にすごく厳しい吹奏楽部に入っていたんです。もうめちゃくちゃにダメ出しされるんですけど、当時の私や友人たちはそのダメ出しに耐えながら必死で練習していました。なにかをがんばらなくちゃと思うとき、当時の経験がどこかで私を支えていてくれるような気はしますね。

では最後に、大澤さんの「根」にあるものを、教えていただけますか?

なりたい自分の姿があって、でも今はそうじゃないという、自分への悔しさです。他人と比べてどうかではなく、自分への「負けないぞ」という気持ちですかね。

着用商品

キレイめ2WAYルーズソックス

Color:21 ダルベージュ

¥770

大澤 実音穂|雨のパレード

バンドの音楽的基盤を支えるドラマーであり、紅一点、その容姿端麗なビジュアルと対照的なパワフルなプレイでバンドを支える精神的支柱。
端麗なルックスとファッションセンスの高さから雑誌でモデルを務めるなど、ファッションアイコンとして若い世代からの人気を博す。
また主題歌を務める映画「僕たちは変わらない朝を迎える」ではスクリーンデビューを果たすなど多岐にわたり活躍中。
現在、自宅にて2匹の愛猫と住む猫好き。
8ヶ月ぶりとなる新曲「Override」を8月25日に発表。10月にはツアー『ame_no_parade TOUR 2021 “ESSENCE”』を開催予定。

大澤実音穂さんのサイン入りポストカードを5枚1セットにして、20名様にプレゼント!
詳細は応募フォームからご覧ください。

応募締切:2021年9月26日(日)

photo:野本敬大、writer:小島杏子、edit:金井塚悠生