「フィンランドの幸せの秘密」
vol.1 幸せの在り方とは?

世界幸福度ランキング4年連続1位のフィンランド。
ムーミン、サンタクロース、オーロラ、四季、
デザイン、SDGsランキング世界一の国でもあります。
実はフィンランド人はおうち時間
「Kotoilu」(コトイル)も上手!

フィンランド人の暮らしにまつわる
6回の連載を通して、フィンランドで生まれ育った人の
立場から、自分の経験に基づいて、
みなさんに紹介していきます。

みなさんの暮らしやおうち時間が
少しでもハッピーになりますように!

Laura Kopilow(ラウラ・コピロウ)

フィンランド、エスポー出身
フィンランド大使館商務部 商務官
ファッション・ライフスタイル担当
フィンランドのインテリアやファッション企業の日本でのビジネスをサポートし、
日本のメディアやイベントでフィンランドのライフスタイルを広める活動を行っている。
2020年3月放送の日本テレビ「世界一受けたい授業」にラウラ先生として出演。
趣味はパフェとランニング。サウナも日課。

なぜフィンランド人は
幸せなのか?

フィンランド人が幸せを感じる基準はシンプル。
天気が良くて、ご飯が美味しくて、大切な人がいる。
こんな何気ないことにも、
幸せを感じられる国民なのです。
(私の幸せは、お父さんが作ったパンを大好きなムーミンの食器で妹と一緒に食べる時。)

毎日の小さな幸せの積み重ねが大きな幸せに
つながると考えています。
でも本当に天気がいいだけでも幸せなのでしょうか?

その理由は、フィンランドの冬が長く、
夏は短いことに関係しています。

春夏秋冬と四季のあるフィンランドは、
年間の気温差が大きいだけではなく、「白夜」という
日がほとんど沈まない時期と、
反対に「極夜」という、ほとんど太陽が
出てこない期間があります。
だからこそ、太陽の出ている天気がいい日への
ありがたみがとても大きいのです。
つまり、天気がいい!=幸せ!と感じるのです。

それに加えて、大切な人と美味しいコーヒー
(消費量が世界トップレベル)やシナモンロールを
食べられれば、フィンランド人にとって、
これ以上幸せなことはないでしょう。

少し言い過ぎかもしれませんが、
フィンランドに住んでいるフィンランド人いわく、
幸せとは、
「新聞をゆっくり読みながら朝ごはんを食べる時」
「サウナに入れる時」「冬の暗い時期が終わって、
コートがなくても外に出られる時」など、
とてもシンプル。
つまり、フィンランド人の幸せは
フィンランドのデザインと同じ、シンプル・イズ・ベスト。

(フィンランドの幸せ:冬が終わった!という喜びの象徴であり、夏の風物詩ともいえる、マリメッコのファッションショー。毎年5月にヘルシンキの公園で行われ、誰でも参加可能。)

結局のところ、世界一周の旅ができても、
高価なディナーを食べても、
その幸せは一瞬かもしれません。
それよりも、毎日の小さな幸せが大事。

その取り組み方やヒントはまた後日に紹介します!

(フィンランドと言えばサウナ!サウナの正しい入り方は人の数だけあり、フィンランド人が自分らしくいられる、とても自由な場所です。写真は私のおじいちゃんが作った大好きなサウナです。)

そんな何気ない日常を大切にしている
フィンランド人ですが、もちろん、
ただ楽して日々を送っているだけではないです。
例えばフィンランドの1人あたりGDP(国内総生産)は
日本に比べて25%も高く、
サステナビリティの先進国としても知られています。

実は、努力して頑張ることを好む日本人と同様に、
フィンランド人も努力して
何かを成し遂げるのを好みます。

世の中が不安定な状況でも、よりよい明日のために
諦めずに努力しつづけ、困難を乗り越える
フィンランド人の頑張る力や国民性、フィンランド魂を
「SISU」(シス)と言います。
先がなかなか見えない今だからこそ
注目されている精神です。

ただ、ここでポイントになるのは、
決して無理はしないこと。
自己犠牲や過度な我慢はしないこと。

(何かを実現したければ全力で努力するけど頑張りすぎないことを教えてくれたフィンランドの両親。)

人間は生き物なので
疲れたり休んだりすることは当然だと、
フィンランド人は考えています。
それは弱さではなく、みんなに必要なので、
家の中でゆっくりすることや
おうち時間の「Kotoilu」(コトイル)は
とても良しとされています。

確かに、
フィンランドには幸せになれるヒントがたくさんあって、
それを実現できる環境が整っています。

ですが、
フィンランド行きの航空券を手に入れたとしても
(フィンランド人としては一度はフィンランドに行ってくださいね!と言いたいのが本音ですが)
フィンランドに行ったからと言って
絶対に幸せになれるという保証はないですし、
幸せはマインドセットだと思っています。

フィンランド人のように、
シンプルイズベストな日々の小さな幸せを意識して、
皆さんの毎日がよりハッピーになりますように!

(フィンランドには「ei työ tekemällä lopu」(仕事はいくらしても終わりがない)ということわざがあって、仕事を終わらせて休むことが大切だよ、と考えられています。仕事後に、この写真に写っているヘルシンキ港のプールとサウナに入った時がとても幸せでした。)