「フィンランドの幸せの秘密」
vol.3 物を大切に長く愛する

世界幸福度ランキング4年連続1位のフィンランド。
ムーミン、サンタクロース、オーロラ、四季、
デザイン、SDGsランキング世界一の国でもあります。
実はフィンランド人はおうち時間
「Kotoilu」(コトイル)も上手!

フィンランド人の暮らしにまつわる
6回の連載を通して、フィンランドで生まれ育った人の
立場から、自分の経験に基づいて、
みなさんに紹介していきます。

みなさんの暮らしやおうち時間が
少しでもハッピーになりますように!

Laura Kopilow(ラウラ・コピロウ)

フィンランド、エスポー出身
フィンランド大使館商務部 商務官
ファッション・ライフスタイル担当
フィンランドのインテリアやファッション企業の日本でのビジネスをサポートし、
日本のメディアやイベントでフィンランドのライフスタイルを広める活動を行っている。
2020年3月放送の日本テレビ「世界一受けたい授業」にラウラ先生として出演。
趣味はパフェとランニング。サウナも日課。

サステナビリティの考え方が
フィンランドに根付いている理由

(いつからなのか分からないぐらいずっと使っているサマーコテージの食器やリネンで作ったテーブルクロス。今後もずっと大切に使っていきたい。この日はディルたっぷりのサーモンパイを焼いて、みんなで美味しく食べました。)

第2回の記事では自然との共存について書きましたが、
フィンランド人は昔から自然と一緒に生きています。
自然を大切にすることで、自分も大切にしています。

そしてそれだけではなく、暮らし方も元々とても
サスティナブルでした。

インテリアや生活雑貨は、お気に入りを長く使い、
物を大切にしてきました。

例えば木製の家具やリネンタオル、ウール、石など
天然素材を使ったインテリアや洋服。

サステナビリティという言葉は、
しばしばイノベーティブで目新しいことだけ
考えがちですが、フィンランドの暮らしには
(そしてきっと日本の暮らしにも)昔から
「サステナビリティ」の要素が存在しています。
今になって、今までしてきた物を大切にする暮らしに
「サスティナブル」というレッテルを
貼っているだけの場合が多いです。

最初から少し高くても長く使えるものを購入すると、
結局日割り計算で安くなります。
そして新しく買わなくても、フリーマーケットや
おばあちゃんの食器などを
大切に使うのも一般的です。

(フリーマーケットで掘り出し物探し。自分のお気に入りを見つけた時の喜びは大きく、その物はどのような暮らしを見てきたかのストーリーを考えるのも楽しい。フィンランドは時代にとらわれない、長く持つデザインが多いので、フリーマーケットはまるで宝箱のよう。)

高品質・高価格のものは、ブランドやデザインと
呼ばれることがありますが、
多くのフィンランド人にとってはただ日常を
豊かにするいいものです。
実は保育園やサービスエリアでも、
デザイン家具を使っています。
長く持つ心地よいものです。

そしてとてもサスティナブルです。

(フィンランド大使館敷地内にある期間限定「メッツァ・パビリオン」では、クリスマス飾りを何年も何年も使える白樺の合板で作ったクリスマスツリーやテキスタイルを飾っています。家具も木製の一生大切に使っていきたいもの。)

長く持つとてもフィンランドらしいものの一つに、
これからの、肌寒くおうち時間が心地よい時期に
ぴったりなウールソックス。

靴下の編み方を学校で学ぶほど
フィンランド人にとっては
とてもなじみのあるものです。

数年前の冬オリンピックでフィンランド代表
コーチの編み物姿が話題になりましたが、
履いて気持ちいいだけではなく、
実はリラックス効果もあります。

ギフトとしてもポピュラー。

(おばあちゃんが編んでくれたウールソックス。)

フィンランドのおばあちゃんから靴下をもらうと、
私のことを思いながら編んでくれたんだな、
ということが分かりますので、
一番嬉しいプレゼントです!

でもなかなか破れないので、
毎年新しいウールソックスを孫に編みたい
という大好きなおばあちゃんが困っています(笑)

ウールは環境にやさしい天然繊維であると同時に、
サステナビリティの観点で課題もあります。
同じウールでも環境負荷に違いがあったり、
最小限の手入れで十分なのに洗いすぎと大量に水を使ってしまったり。

色々調べて、知ることがとても大切です。

でもそれと同じく大切なのは、
無理をしないことで継続することです。
最初から完璧を目指さなくても大丈夫です。
小さいことから始めることで十分です。

(サマーコテージはサステナビリティの観点からして完璧ではないのですが、ラグは古いシーツから作ったもので、家庭菜園の野菜も美味しい。最近はトイレをより環境にやさしいものにしました。)

フィンランドはSDGsランキング1位
かもしれませんが、課題がたくさん残っています。
でも環境にやさしいことは
自分にもやさしいので、少しずつ。
継続は力なり!

今後何かを買う時に、ずっと使えるものなのか、
考えてみるのはいかがでしょうか?

(ヘルシンキのゴミを出さないゼロ・ウェイストレストラン「Nolla(ノッラ)」。食べ物から容器まで使い捨てしない等徹底ぶりに脱帽。普通の生活者はここまでこだわるのはなかなか難しいのでほどほどにでいいですよ。)

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